涙雨






「神子・・帰るのだ。」
「・・・・」
「私はひとならぬ者・・・そしておまえは異世界の者」
「いやです。いや。どうして?何故わかってくれないの?あなたは人だよ。」
「・・・・真を認めろ。私の目を見ろ。」
泰明さんの声が静かに響く
私は言われるまま・・泰明さんのオッドアイを見つめる。
ぽつ・・ぽつ・・・・降り出した雨が土をぬらし、黒く色をかえていく。

「・・・呪いはとけなかった。私の目は・・以前のままだ。」
翡翠色と琥珀色。私の大好きな瞳。
「私はひとにはなれぬ。理から外れたものとして咎をうける身・・」
どうして・・・・?・どうすればあなたは納得してくれるのだろう。
時間がない。
泰明さんが占った、もとの世界に帰る道がひらける日はもう目の前だ。
すべてを捨てても私は泰明さんのそばにいたい。
今ここであなたと離れたらきっと私は一生後悔しつづける。

「う・・・・・」
こらえていた嗚咽がもれる。
「神子・・・・離せ。」
あなたの声がせつなく響く。
だめ・・・今この手を離したらこのひとは遠くに行ってしまう。
そして私の前から姿を消すにちがいない。

「嫌、絶対離れない。離れないんだからっ・・・はな・・・ひっく」
雨の中私の嗚咽だけが響く。
「神子・・」
「いやっ貴方が何と言おうと私は離れないっずっと傍にいるっ」
叫んでいた。
どうしてこんなことしか言えないんだろう・・・・
情けなくて・・・でも・・これが私の精一杯で。
「・・・・あなたが好き。あなたが・・・好き」
「・・・・」
泰明さんが息をのむ。



「・・・・あ」
背中をそっと抱きしめる温かい腕。
雨が私達を包むように濡らしていた。

   2002/6/紫陽花祭参加作品  
     イラスト miyocoさま(B/GARDENさま)


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