冬の遊び・彼の遊び









「十六夜はなんでも上手にできていいなぁ」

『福袋に入っていたから』と朔に無理やり押し付けられたスノーボードをやって見せると、そう羨ましげにため息をつく。

顔が寒いのか、赤い手袋で口元を覆っているが、そこから白い息が漏れていた。


「何、朔、スノボできないの?」

「やったことないもん。いいなぁ・・・気持ちよさそう」

「ふーん」

そんなに難しいことか?いや、朔には難しいのかも、と思い直した。

「スノボやってみたい?」

そう聞くと、朔はぱっと顔を輝かせた。

「え?教えてくれるの?いいの?」

普段、邪魔だ邪魔だとあまりかまってやらないから、少し優しくすると朔はこんなふうに大喜びする。

その期待感に満ちた顔を見ていると僕の中で何かがざわめく。

「やってみたいか聞いただけ。朔にはスノボは無理だと思う」

そういうと、案の定、朔の顔に落胆の色が現れる。

運動神経皆無のくせに。

「・・・だよね」

肩を落とした朔を見て、僕が満足かというとそうでもない。

それはそれで、ちょっとしまった、という心地になるのだ。

確か、福袋にはアレも入っていたよね?

「スノボはだめだけどソリならできるんじゃない?」

「え?」

「入ってたよね?ピンク色のソリ」

そう水を向けてやると、朔はたちまちしおれた花が水を吸うように、しゃきん、となった。

「うん!もってくる!」



*



ソリを朔から受け取ると、片手で朔の手を握り、もう片方の手でひもをひっぱって雪の丘を登る。

「い、十六夜、ここ、ちょっと高くない?」

「高くないと滑らないだろ、莫迦だな、朔は」

ソリをいい位置に据えると朔に座るように命じた。

「座れよ」

「う、うん・・・」

朔は怖気ながらも、僕の言うとおりソリに座った。

「いきなり押しちゃいやだよ?」

そう恐々振り返りながら念を押す。

どうやら僕にこの高さから一人で滑り落とされると思ったらしい。

僕がだまって後ろに座り、足で抱えるようにすると、安心したのか、ほっと力が抜けた。

「じゃ、行くからね」

「うん!」

その声はさっきよりはよほど弾んでいた。










「ぎゃあああああああ!!!」

「朔、煩い」

「だって、だって、早いよぉ、怖いよぉ!ひゃあああああああ!!!!」

ソリがとまるまで朔の叫び声で耳が痛かった。






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